2011/09/03

『フェルメール 光の王国』(福岡伸一著)

ANAに乗る機会がある時には、とても楽しみにしていた機内誌「翼の王国」に連載されていた、生物学者・福岡伸一先生が、17世紀のオランダ画家、ヨハネス・フェルメールの作品が所蔵されている世界各地の美術館に4年の歳月を掛けて赴き、福岡先生ならではの仮説を披露されていたコーナーが、1冊の本として出版されている、ということを、先日搭乗したANA機内で知り、早速書店に走りました。

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生物学者という視点から観るフェルメールは、とても興味深く、「翼の王国」で連載されていたのをきっかけに、フェルメールにとても興味を持ちました。

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映画館で鑑賞した『真珠の耳飾りの少女』を再観賞しました。

是非、この本を読んでから映画を観てみてください。映画(もちろんフィクション。物語のまとめ方は正直微妙。でも、主人公を演じるスカーレット・ヨハンソンはこの少女をイメージさせます!!)の細部に散りばめられた興味深い小道具の数々に気づくはずです。

デルフト・タイル、ガウン、デスクの上の小物、窓、壁に飾られたアイテム、色・・・

謎多きフェルメール。

ベルリン、ドレスデン、フランクフルト、ウィーン、ニューヨーク、ワシントンD.C.でフェルメールの絵画を目にしているにも関わらず、知識のなかったわたしは、ふ~ん、という感じで、フランクフルトとウィーン、ニューヨーク以外の美術館でフェルメールの絵を何気なく眺めていたことに残念さを覚えました(あとの3つの美術館は、ある程度の知識と持って再訪済)。

いろいろなフェルメールに関する本が出版されていますが、個人的には、イチオシの本です♪押しつけがましくなく、夢が広がる、そんな1冊だからです。

ちなみに、今年2011年12月23日(金・祝)-2012年3月14日(水)(1月1日のみ休館)、渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムで、『フェルメールからのラブレター展』が開催されます。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/11_loveletter/index.html

楽しみにしたいと思います。

2011/07/24

『ベートーヴェンな憂鬱症』(森雅裕著)

『モーツァルトは子守唄を歌わない』に続く、ウィーンを舞台にした、主人公ベートーヴェン先生と、弟子のチェルニーとの出会い、孫弟子のリストとの出会い他が描かれた、謎解き短編集です。

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ベートーヴェンが30代前半から50代に至るまでの短編4作品を収録。小生意気な毒舌チェルニー君の出番が少なかったので残念でしたが、最終編ではリストが出てきて、これまた楽しめました。

作者が後記で記していらっしゃいますが、この小説はあくまで「フィクション」。

チェルニーってどんな人だったんだろう?と、調べてみたのですが、どうも勤勉で孤独、繊細な人だったようで、この小説に出てくるチェルニーとは人物像が異なりますし、史実とは違う部分も多々ありますが、でも、「フィクション」なので、そんなことを気にしていては楽しめるものも楽しめません。

映画も小説も、作者のイマジネーションによって、その時だけ、特別な空間に連れて行かれて、その時だけの楽しみの時間を過ごせる、そこが魅力です。

この小説を読んで、ベートーヴェンやチェルニー、リストやシューベルトに興味を持ち、また、ウィーンやヨーロッパの街・国・歴史に興味を持ち、そこから音楽や歴史や人物をもっと知りたいなぁ!と思ってもらえれば、きっと作者も喜ばれるのではないかと思います。

謎解きは正直あまりイケてなかったように思いますが、音楽家たちがウィーンの街を謎解きで翻弄する物語全体としては、とても楽しかったです。

ベートーヴェンの音楽を携帯音楽プレイヤーに追加しました♪

2011/07/19

『モーツァルトは子守唄を歌わない』(森雅裕著)

森雅裕著『モーツァルトは子守唄を歌わない』を読みました。

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最近外していたので、外さないミステリー小説はないものかと、ググッていたら、この本のことを知り、刊行されたのはかなり前だったのですが、読んでみたいと思いました。

だって、主人公がベートーヴェンだから!!!!!

真面目に読んではいけません。だって、弟子のチェルニーは超毒舌(爆)、シューベルトはイメージのまま(笑)、ベートーヴェンは…ですよ(笑)

著者自身も、あとがきで述べていらっしゃいますが、ストーリー性や謎解きに関しては正直物足りなさを感じますが、イマジネーションに関しては、ベートーヴェン好きのわたしとしては、かなり楽しめました。

明日から『ベートーヴェンな憂鬱症』を拝読します。ピアノを中学生まで習っていた端くれとしては、チェルニーの面白キャラ(本来はそうではないとは思うのですが・苦笑)に期待しています♪

2011/06/21

『古書の来歴』(ジェラルディン・ブルックス著、 森嶋マリ訳)

『古書の来歴』(ジェラルディン・ブルックス著、森嶋マリ訳)を読みました。

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実在する稀覯本『サラエボ・ハガター』を巡るヒストリカル・ミステリー本で、第二回翻訳ミステリー大賞を受賞した小説です。とにかく久しぶりに読み終わるのがもったいないと思った知的好奇心を刺激されっぱなしの名作!

主人公は、古書の保存修復家であるオーストラリア人のハンナ。オーストラリア人というところにも意味があります。小説は、現代を生きるハンナと、そして、1940年のサラエボで、1894年のウィーンで、1609年のヴェネチアで、1492年のスペイン・タラゴナで、そして、1480年のセビリアで、このハガターに関わった人々のドラマが並行して展開されます。

最近、電子書籍がもてはやされ、紙の本が淘汰されようとしているという危機的ニュースを目にしますが、この本を読むと、紙の本の魅力を存分に感じます。

ひとつの本が辿るドラマチックな物語は、紙の本でなければ後世に伝えられない、貴重な記録としての書物の上に成り立っています。

紙の本の魅力を再発見する、また、人と人とのつながりのドラマを感じられる、オススメの1冊です。

2011/06/10

『ジュリエット 上/下巻』(アン・フォーティア (著) 中谷ハルナ((翻訳))

『ジュリエット(アン・フォーティア著、中谷ハルナ訳)』を読みました。

http://www.randomhouse.com/rhpg/features/anne_fortier/

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書店で何気なく本を物色していて目に留まったのですが、1冊約2,000円の上下巻は財力的に難しく、でも、どうしても読んでみたく、古本屋さんで購入しました。

幼い頃に両親を事故で亡くし、伯母に引き取られて育った双子の姉妹の姉・ジュリーは、伯母の遺言で、一族に伝わる秘宝があると初めて知り、遺されたたったひとつの手掛かりを元にイタリア・シエナへと飛びます。そこで彼女は自分がジュリエットの末裔だと知り・・・という、歴史エンターテイメントです。

「ロミオとジュリエット」の舞台と言えば、先日映画館で鑑賞した「ジュリエットからの手紙」でも舞台になっているイタリア・ヴェローナですが、シェークスピア作「ロミオとジュリエット」の原型版と言われているのが、1476年にナポリで出版されたマスチオ・サレルニターノ作の小説。

サレルニターノの小説では、シエナが舞台ですが、対立する2つのグループ、恋人たち(マリオットとジアノッツァ)はその悲しい運命に翻弄され、二人を仲介する修道士が出てきます。これは、シェークスピア版に通ずるモチーフです。

小説『ジュリエット』はもちろんフィクションですが、実際の場所も交じっているので、ヴェローナとシエナで、ロミオとジュリエットにまつわる場所巡りを楽しむのも、ロマンがあって愉しいかなぁ、と感じました。

是非、映画化して欲しい作品です。

2011/05/26

『寝ても覚めても本の虫』(児玉清著)

先日、2011年5月16日に胃癌のため亡くなられた俳優・児玉清さんが2001年に出版された『寝ても覚めても本の虫』を拝読しました。

児玉清さんは無類の本好きとして知られ、また、わたしにとっては同じドイツ文学科(児玉さんは学習院大学文学部ですが)を卒業されており、NHKのドイツ語講座にも出演されていたので、親近感を覚えていました。

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『なぜ原書で読むことになったか、それは実に単純な理由で、僕の大好きな作家達の翻訳本が突然といっていいくらいに目の前から消えてしまったからに他ならない(中略)原因は翻訳を読みつくし、原作に追いついてしまったためである。』

そう、児玉さんがお好きだったジャンルは意外や意外、ディック・フランシス、トム・クランシーやパトリシア・ コーンウェルなど、海外のエンターテイメント色の強い作家作品。翻訳本が出るのを待ちきれず、少しでも早く「生の文章」でお気に入りの作家の作品を読みたいという想いから、英語の原作を読まれるようになったそう。

お気に入りの作家とその作品に対する愛情の深さに驚かされました。

わたしのお気に入りの作家ジェームズ・パタースンについても少し触れられていて嬉しかったのですが、名前も聞いたことがあるし作品も知っている未読の作家や作品についての熱い熱い文章に惹き込まれ、これはもう読んでみなければ!とこちらまで楽しくなってしまいました。

わたしも、ジェームズ・パタースンの「アレックス・クロス・シリーズ」の続きを読みたくて、原書を手にしたことがしばしば。最近では、ダン・ブラウン著"The Lost Symbol"の舞台がワシントンD.C.でフリーメイソンについての物語だと知り、原書発売と同時に購入して読みふけりました。

この本のおかげで、しばらくは本選びに困ることもなさそうです。わたしも児玉さんがワクワク、ドキドキ、感動して、最高に楽しんだその感触を是非、体感させていただきます。

2011/05/21

『おやすみラフマニノフ』(中山七里著)

先日読んだ中山七里著「さよならドビュッシー」がとても面白かったので、続編ともいえる「おやすみラフマニノフ」も1日で読んでしまいました。

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今回も岬先生が謎解きしますが、単なる続編ではありません。今回も音楽・音楽家・楽器に関する愛情溢れるうんちく、臨場感溢れる演奏シーン、ラストのどんでん返しと、楽しませていただきました。

この著者がよほどクラシック好きなのかと思っていたのですが、Googleで見つけたブログ等を拝見していたところ、息子さんが音楽関係の学校に通われているようで、そこからの情報をもとにして書かれているという・・・それにしてはとても表現が豊かでリアルです。

なんでも、本を書かれた2010年がショパン生誕200年記念だったので、ショパンを取り上げる予定だったそうですが、多くの書店員さんからショパンよりラフマニノフを取り上げてくださいという声があったのを反映しての作人になったそう。

個人的にショパンが大好きなので、第三弾があれば、是非、ショパンを取り上げてください!

2011/05/15

『さよならドビュッシー』(中山七里著)

最近、かたい本ばかり読んでいたので久しぶりに小説が読んでみたくなり、書店で『さよならドビュッシー』というタイトルに惹かれて購入し、1日で読んでしまいました!

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最後のページの解説と、帰宅して調べて、第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作だったことを知りました。納得!ラストの驚きは是非本を手に取って!

読み始めは、ミステリーというよりピアニストを目指す女の子の物語といった風でしたが、ほどなくして一転、16歳の主人公の高校生が祖父と従姉妹と共に大火事に遭い、ひとりだけ全身大火傷の重傷を負いながら生き残る・・・と、そこから次々と不吉なことが周囲で起こり・・・

わたしの好きなベートーヴェン、ショパンも登場。特にベートーヴェンについての語りを読んでいると、ハイリゲンシュタットに行きたい想いが募りました。

続編もあるようなので、今読み始めた本を読み終わったら是非、読んでみたいと思います。

続きを読む "『さよならドビュッシー』(中山七里著)" »

2010/03/07

『The LOST SYMBOL ~ ロスト・シンボル』

『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』に続く、ダン・ブラウン作ラングドン・シリーズ第三弾『ロスト・シンボル』を読みました。

http://www.danbrown.jp/thelostsymbol/

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今回は、フリーメイソンがテーマ。

フリーメイソンの最高位が33階級、ということで3月3日発売(かな?)。

実は和訳本が出ると先月知って、和訳本発売まで待てない気持ちになり、某WEB通販サイトで検索したところ、激安で原作本を購入することができたので、久しぶりに英語原書で一足お先に読んでみました。

好きなもの、興味のあることは外国語でもハマルことを再認識しました。

3月3日に出た和訳本で答え合わせをしましたが、だいたい合っててホッ(^ ^;

さて、中身ですが、前2作が芸術作品に焦点を当てているのに対して、今回はフリーメイソンと宗教。ラングドン教授が今回も謎解きに挑戦するのですが、正直、前2作ほどの興奮とか感動とかはありませんでした。ちょっとがっかり。

正確には、どうなるの?それって何なの!という、興奮はあり、通勤の電車内で原書を読んでいる際にも、早く続きを読みたい!という気持ちでいっぱいだったのですが、読み進めラストに近づくにつれ、なーんだ、というガッカリ感が(汗)

ただ、この作品の舞台がワシントンD.C.なのですが、これまで2回足を運んでいますが、1回目:日帰りオプショナルツアー、2回目:NYCからのトランジット、だったので、今度はもっとゆっくり行ってみたくなりました。既作品を読まれた方の中には、D.C.の狭い空間が舞台なのでそれもがっかり、という意見もあるようですが、狭い空間にあんなにたくさんの見どころが詰まったD.C.はそれなりに魅力的だと思います(多くの映画や小説の舞台でもありますしね♪)。

あとは、アルブレヒト・デューラーが出てくるのですが、ニュルンベルクのデューラーハウス(Albrecht-Dürer-Haus)に数回足を運んでいるものの、こんな事実を知りませんでした。

http://www.museen.nuernberg.de/duererhaus/index.html

やっぱり芸術作品の謎に焦点を当てていただいた方が個人的にはいろいろ楽しめるかも・・・。

これは、きっと、映画化された方が面白い作品なんだと思います。まだロケも何も始まっていないのですが、映画化が今から待ち遠しいです!

ANA: http://www.ana.co.jp/asw/index.jsp?type=i

ユナイテッド航空: http://www.unitedairlines.co.jp/core/japanese/index.html

2010/01/22

『むかし、あけぼの』

会社関係の知人の方におすすめいただき、田辺聖子作『むかし、あけぼの』を読みました。田辺聖子さんが描く、現代語で書かれた清少納言作、小説『枕草子』です。

http://bungakukan.osaka-shoin.ac.jp/

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『枕草子』のはじまりといえば、「春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明りて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。」

国語(古典)の授業や大学入試試験を思い出します。

わたしは日本史も日本文学も、日本人なのにかなり苦手です(落語は昔から好きですけど・笑)。

日本の歴史や文化ものって、わたしが小さい頃にはNHKのかた~い番組だったり、時代劇だったり、文学はまさに「以下の”枕草子”の冒頭の一文を訳せ(日本語なのに訳せ、って?)」なんて問題がいい例で「勉強!」って感じだったのに対して、世界史とか文学はTV番組なら「世界ふしぎ発見!」とか漫画&アニメ「ベルサイユのばら」とか小説「三国志」とか、未知の世界に触れる楽しさや、「勉強!」というお堅い試験勉強からは離れても楽しめるところがあったり。

でも、この小説は、そんな日本史/日本文学ぎらいなわたしさえも魅了してくれました。

何と言ってもまずは冒頭。

「まったく、則光ったら、なんでこうも私をイライラさせるのかしら」

え?則光ったらって?イライラって??

こんなのもあります。

「私はズケズケといってやった。こんな陰気な女は、私はしんそこ嫌いなのだ。」

・・・そう、この小説は、清少納言が現代語で語る"Roman(ロマン)"なのです。

本を開くたびに、平安時代にタイムスリップしていました。

この時代の雰囲気というざっくりしたものよりもっと細部に、建物や身の回りの品々や自然などの色や音、香りや空気、季節の移り変わりなどなど、五感で感じることができます。

清少納言はこの現代でもきっと生きることができるような、バイタリティーに富んだ、知的な女性です。小説の中の清少納言に共感できる部分も多々ありました。

また、小説に描かれている恋愛模様、人間関係模様、時代模様は、昔の話だから、なんて思えない、共感できる部分が多々ありました。

過去と現在は確実につながっているのですね。

「雅」「儚さ」「可笑しさ」「虚しさ」など、自分の中にも日本的な感覚があるんだなぁ、自分は日本人なんだなぁ、なんて思いました。

チョット日本の歴史を勉強してみようかなぁ、なんて思い、早速「手にとるように日本史がわかる本」という本を読み始めてます(うー、やっぱり苦手なものへの壁を超えるのは難しそうですが・苦笑)。

http://www.kankidirect.com/np/isbn/9784761264574

この小説を薦めていただいたTさんに感謝いたします♪下巻の2/3くらいのところで目頭が熱くなりました(; ;)この小説に出会えてよかったです!ありがとうございました。

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